ハムレットのシンメトリー

Hamlet's Questions and One Man's Answers

ホレイショー

35.『ハムレット』を「鬼」で解釈する

このブログは『ハムレット』の新たな解釈を公開するのを目的としているのですが、前々回はてなブログの「今週のお題」にそって書いてみたら、わりと面白いうえ新たな発見もあったりしたので、今回もそれを期待してお題で書いてみようと思います。それで、「…

34. 鏡としての『ハムレット』

前々回からの続きです。前々回は、まずABCDEF| fedcba構成の中心は閉幕後のホレイショーの語りと対応関係を持つのではないかと仮定しました。そしてそのABCDEF| fedcba構成の中心は、第三幕第四場のハムレットがガートルードに向ける鏡であることがわかりま…

33.『ハムレット』の手帳

今回はこれまでの流れをお休みして、はてなブログの「今週のお題」で書いてみたいと思います。このブログは『ハムレットのシンメトリー』と題して『ハムレット』の謎解きを目的としたブログなので、お題に関しても『ハムレット』に即した事を書ければと思っ…

27.ハムレットの手紙と対称となるのは

今回から、再び『ハムレット』のシンメトリー構成に戻ります。前回まで、対称構成の表はだいぶ埋まり、あとは2か所が空白になっているだけです。 今回は、第二幕第二場でオフィーリアにあてたハムレットからのラブレターをポローニアスが面白半分に批評しな…

23.父を殺された息子たち

前回は、ルネサンスにおいて重要な概念である精気というものが、どのようなものであるかを記してみました。今回はこのブログの主題である『ハムレット』のシンメトリー構成に戻ります。 これまでに解説してきた『ハムレット』の対称ペアはA|a 亡霊と亡骸、B|…

17.『ジュリアス・シーザー』キャシアスの台詞について、さらに

前回は『ハムレット』と「世界劇場」の関係を、シェイクスピアの他の作品をもとに考察しました。そして、そこからシェイクスピアは「この世は舞台、男も女もみな役者だ」といった場合の、その「世界劇場」の観客として、一つには神、そしてもう一つには後世…

16.世界劇場とその観客

前回は『ハムレット』の中に「世界劇場」の理念が含まれているのかもしれないと仮定してみました。そして『ハムレット』に「世界劇場」の理念が組み込まれているのであれば、それによって何が表現されているのかを考えました。今回はさらにこの『ハムレット…

15.劇場としてのイギリス

前回は、ハムレットに語られたイギリスが、舞台の外に広がっているという事を示して、閉幕後のホレイショーの語りと対比して考察しました。 『ハムレット』におけるイギリスと閉幕後のホレイショーの語りは、ともに重要な要素だと思われるのですが、両方とも…

14.イギリスの内の舞台

『ハムレット』は現在に至るまで、あらゆる国のあらゆる劇場で演じられてきました。おそらくシェイクスピア自身は、将来において世界各国の劇場で演じられるなどは想定していなかったかもしれません。しかしシェイクスピアが『ハムレット』の上演される劇場…

13.舞台の彼方のイギリス

前回は『ハムレット』のシンメトリー構成において、劇中劇と対称となるのはハムレットのイギリスへの渡航であるという事を示して、その二つがどのように対称的に作られているかをみました。そして、劇中劇が舞台内に集中するように作られているのに対して、…

11.『ハムレット』の劇外劇

前回は劇中劇と閉幕後のホレイショーの語りとの関係を考察し、この二つが対称的に作られているという事を指摘しました。少し入り組んでいましたので、もう一度この二つの関係を見ていきたいと思います。 まず、劇中劇とは『ハムレット』の中でどういうものか…

10.語りから演劇へ

前回は、『ハムレット』という戯曲がその登場人物の一人であるホレイショーが語るものを舞台上に見えるようにしたものではないか、という説を立ててみました。さらに、それによって『ハムレット』が円環するような構造を持つという仮説にいたりました。 そこ…

9.ハムレットウロボロス

前回までに『ハムレット』におけるTo be は開幕から閉幕までの間の舞台上で目に見え、耳で聞くことのできる表現であり、それに対してNot to beは開幕までの時間と閉幕からの時間に設定されている事柄である事をみました。これらは『ハムレット』を見ている観…

8.実体のない存在 —語り、亡霊—

今回も引き続き第一幕第一場と第五幕第二場の考察を行います。前回は第五幕第二場のハムレットの亡骸が壇上に安置されるのは、『ハムレット』の閉幕後に設定されているという事を確認しました。そこから壇上に安置されるハムレットの亡骸は観客の視点からNot…

7.舞台の上に To be,or not to be

前回、前々回と父ハムレットの亡霊とハムレットの亡骸の対称性を検討してきましたが、まだ他にも色々と比較できる箇所があり面白いですので、今回も引き続き亡霊と亡骸についてです。 次に引用するのは第一幕第一場で亡霊を目にしたホレイショーが亡霊に問い…

6.語られたフォーティンブラス、そして現れたフォーティンブラス

前回は父ハムレットの亡霊と息子ハムレットの亡骸の対称性を検討し、それぞれを霊と体とした際に、あのクエスチョンを投げかけてみました。To be か Not to be か? そして亡霊が物質的な視点から見ると Not to beとしてあり、霊的な視点から見れば To beで…