クローディアス
前回は第一幕に登場する父ハムレットの亡霊と、第五幕第二場で死ぬハムレットを、死後の精気のあり方という観点から見ました。精気は肉体と霊魂、見えるものと見えないものを媒介する役割を持ちます。そのため宗教的な場面では、神的な存在との媒体ともなる…
前回は第三幕第三場のハムレットが身を隠しクローディアスを殺そうとする場面と、第三幕第四場のハムレットが身を隠しているポローニアスを殺してしまう場面が対称となっている事を見ました。これは確かに対称となっているのですが、他の対称ペアと比べて面…
さて、今回はいよいよ『ハムレット』のシンメトリー構成の最後のペアを探します。シンメトリー構成の表に残っている空欄は1つだけで、それは第三幕第三場クローディアスが神に自らの罪の許しを祈っているところを、身を隠したハムレットが背後からクローディ…
今回から、再び『ハムレット』のシンメトリー構成に戻ります。前回まで、対称構成の表はだいぶ埋まり、あとは2か所が空白になっているだけです。 今回は、第二幕第二場でオフィーリアにあてたハムレットからのラブレターをポローニアスが面白半分に批評しな…
前回は、第二幕第二場のフォーティンブラスの話題に関連して、フォーティンブラスがハムレットと対称的に描かれており、レアティーズがハムレットと対照的に描かれている事を指摘しました。対称的と対照的の意味がなんだか混ざってきそうなので、表現を変え…
前回は、ルネサンスにおいて重要な概念である精気というものが、どのようなものであるかを記してみました。今回はこのブログの主題である『ハムレット』のシンメトリー構成に戻ります。 これまでに解説してきた『ハムレット』の対称ペアはA|a 亡霊と亡骸、B|…
『ハムレット』のシンメトリー構成の続きですが、ここまではまだ劇中劇の対称ペアがハムレットのイギリスへの渡航であることが明らかになっただけです。これを対称ペアの表に書き加えてみましょう。まだ半分の対称ペアが空白ですが、今回は第一幕第二場の王…
前回は『ハムレット』の中に「世界劇場」の理念が含まれているのかもしれないと仮定してみました。そして『ハムレット』に「世界劇場」の理念が組み込まれているのであれば、それによって何が表現されているのかを考えました。今回はさらにこの『ハムレット…
ハムレットのイギリスへの渡航です。これが『ハムレット』の中で劇中劇とシンメトリーとなります。 しかし、ハムレットのイギリスへの渡航とはどのようなものだったでしょうか?『ハムレット』を読むか観たのがかなり以前の方であれば、劇中劇は印象に残って…
前回は、『ハムレット』という戯曲がその登場人物の一人であるホレイショーが語るものを舞台上に見えるようにしたものではないか、という説を立ててみました。さらに、それによって『ハムレット』が円環するような構造を持つという仮説にいたりました。 そこ…