ハムレットのシンメトリー

Hamlet's Questions and One Man's Answers

45.『ハムレット』対称ペアに付箋を貼ってみよう

 今回のネタは、以前のはてなブログ今週のお題「買いそろえたもの」で使おうと思っていたネタです。このブログをより楽しみ、理解するために買いそろえるとよいものを紹介します。

 まずは『ハムレット』のテキスト、これはどこの出版社でもいいのですが、なるべく厚めのものが良いです。しかし世界文学全集のシェイクスピアのようないくつかの作品が合冊となっているものは適しません。あくまで『ハムレット』の本文で本の厚みのあるものです。このブログでも引用につかっている研究社版大場建治訳『ハムレット』は対訳で厚みがあり最適です。しかし文庫でももちろんかまいません。

 もう一つはカラフルな付箋、最低6色は必要です。これをそろえてください。そして、このブログを見ながら、『ハムレット』のABCDEF| fedcba構成のページに貼り付けていきます。対称ペアとなるページに同じ色の付箋を貼り付けます。

 

 まずは、第一幕第一場の亡霊登場の場面です。ホレイショーが登場して初めて亡霊を目にする場面です。貼る場所はページの上の部分です。

 次に『ハムレット』の最終ページに同じ色の付箋を貼ります。これはハムレットの亡骸が壇上に上げられるところです。壇上に上げられるのは閉幕後に設定されていますので、最終ページに付箋します。貼る場所は先に貼った亡霊登場の付箋と重なり合うように貼りましょう。

 これで胸壁上に登場する亡霊と、壇上に上げられるハムレットの亡骸が対称となっていることがわかりやすくなります。

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 次は第一幕第二場の始まりのところ、王と王妃の婚儀の場面です。

これと対称となる場面が、第五幕第一場のオフィーリアの葬儀の場面です。これも同様に付箋を貼ります。付箋の色を変えて、先に貼った付箋と少しずれるように貼ります。

この二つの場面では、婚礼と葬礼、さらに記憶と思いが対称的に描かれています。

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 次は第二幕第二場でフォーティンブラスの話題が出る箇所です。

これと対称となる第四幕第五場でクローディアスのもとにレアティーズが殴り込みに来る場面にもやはり付箋の色を変えて同様に貼っていきます。

 この二つの場面ではフォーティンブラスが粘液質として、レアティーズが胆汁質として対称的に描かれています。

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 番目の対称ペアは第二幕第二場のハムレットの手紙をポローニアスが読み上げてガートルードらに聞かせる部分と、

 

第四幕第五場でガートルードのもとにオフィーリアが連れてこられ面会する部分です。


オフィーリアはここで歌を歌います。書かれた詩と歌われた歌が対称となっている対称ペアです。

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 番目の対称ペアは第三幕第二場の劇中劇と、


ハムレットのイギリスへの渡航ですが、イギリスへの渡航は舞台上では表現されていませんので、イギリス行きをクローディアスに命じられた第四幕第三場の終わりに付箋を貼りましょう。

 この劇中劇とハムレットのイギリスへの渡航の対称関係は、閉幕後のホレイショーの語りとも関係しながら、『ハムレット』全体のTo be,or not to beの構造を形作ります。

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 番目は第三幕第三場で神に祈るクローディアスの背後でハムレットが身を隠して殺害を狙う場面と、


第三幕第四場で身を隠しているポローニアスをハムレットが殺害してしまう場面です。


これが最も中心に近い対称ペアです。

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 もし付箋にまだ使っていない色があれば、対称ペアの中心になる第三幕第四場でハムレットがガートルードに向ける鏡にも付箋してもいいでしょう。

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 これで全ての対称ペアに付箋をすることができました。それでは付箋した本を閉じて貼った付箋を眺めます。


きれいに小口にV字型に付箋が貼られていることがわかるでしょう。虹色に付箋を貼るときれいです。読むのに邪魔なら天のところに付箋してもいいでしょう。

 これで、対称となっているペアとその周辺を読み直すことが容易になります。このブログでまだ見つけていない何らかの読み方が見つかるかもしれません。